マリオカート8DXにおけるTA勢とNITA勢の対立について

マリオカート8DXのタイムアタックにおいて、キノコを3つ使ってTAを行うTA勢と、キノコを使わずにNITAを行うNITA勢との間には確執があり、事あるごとに対立している。外野から言わせればくだらない争いであり、カブトムシ同士を戦わせた方が有意義で楽しいくらいなのだが、当事者からすれば沽券にかかわる事案らしく、終わりのない争いを続けている。そこで外野というフラットな立場から、野次馬根性に基づきこの対立について考える。

前提:NITAの台頭理由

8DX以前においてはTAが圧倒的主流であり、NITAを行っている人はほぼいなかったらしい。8DXでも発売当初はTAが主流だったが、TA走法とVS走法の乖離によってNITAが台頭してきた。

というのも以前はTA走法がVS走法であり、TAの練習がそのままVSに活きた。主なTAカスタムがワルパタであり、VSカスタムのワルハナでほぼ同じ走法を再現できたからだ。しかしTAカスタムが軽量級になるとTA走法がワルハナで再現できなくなった。加えてジャイログライダーなどのVSでは使用しないテクニックや、再現性の低い走法の開発により、TA走法とVS走法はますますかけ離れた。つまりVSのためにTAの練習をするのはあまりにも無駄が大きくコスパが悪くなったのだ。加えて高度なテクニックを使ったTAのWRから例えば5落ちと言われても、VSでどれほどの差が付くのかが分かりにくく、その意味でもTAがVSの練習にならなくなった。

そこでVSカスタムでキノコやジャイログライダーを使わずに、実際のVS想定でタイムアタックをするNITAが盛んになった。TAカスタムが軽量級に変わる前まではTA解説動画を出していたマリオカート8DX究極攻略ChがNITA解説動画しか出さなくなったことも、NITAが盛り上がりを見せた理由の1つだろう。解説動画があり参入障壁も低いNITAをVS勢は行うようになり、TAにはTA勢だけが残されたのだ。

原因:NITAガチ勢の出現

TA勢とNITA勢の対立は、NITAガチ勢の出現に起因すると考えられる。NITAが盛り上がりを見せたことによりNITAランキングが作成され、TAと同じくランカーやWRが可視化されるようになった。一部のプレイヤーはランカーを目指すべくNITAガチ勢となり、再現性の低いテクニックを使ってでもランキングに入ろうとしている。そしてランカーになった暁にはTwitterで野生動物の雄たけびがごとくイキるのだ。

TA勢からすればこの状況は面白くない。自分たちのほうが凄いことをしているのにNITAのほうが注目されているだけでなく、NITAガチ勢がTA勢をリスペクトしていないと受け取れるような言動をするからだ。例えば「NIランカーになった」ではなく「ランカーになった」という発言だ。一般にランカーやWRと言ったときはTAのことを指すが、NITAガチ勢の中には「NI」を付けずにさもTAでの功績かのように振る舞う人がいて、TA勢からの反感を買っている。「レベルの低いNITAの実績で威張るな。同じ土俵に立てたと思うな」というわけだ。現に「NITAのランキングは申告制で本当にWRかどうか分からない。だからBKT(Best Known Time)と言え」と言うTA勢もいて、NITAと一緒にされたくないというプライドの高さがうかがえる。外部から見る分には本当にくだらなくて子どもじみているが、当事者であればこのような感情になることも理解はできる。

結論:大人になれ

このようなくだらない争いをしている一番の原因は、登場人物の全員が子どもなことだ。TA勢は「俺らのほうが凄いのにNITAガチ勢のほうがチヤホヤされてる!もっと俺らをチヤホヤしろ」と泣き喚き、NITAガチ勢はNITAという大きくて小さな世界の中で覇を争っていいねを稼ごうとする。大人であればこんなくだらないことで争うことはしない。もっと言うとくだらないことで争わないのが大人なのだ。もっとも「大人になれ」と言われてなれるのであれば苦労しないのだが。

TA勢に関して言うならば、ほとんどのプレイヤーはTAにそもそも興味がないことを知っておくべきだ。VSで役に立つから(NI)TAをしているだけであり、TAやTA勢には興味がない。TA走法とVS走法が乖離した今はなおのことであり、TAのスゴ技はYouTubeかTwitterで見て「おーすごーい」と言うだけで良いのだ。今の主流はNITAであり、TAはプレイヤーの多くを占めるVS勢からの需要がなくただの自己満足なので、チヤホヤされないことが普通であると認識を改める必要がある。

NITAガチ勢に関しては、VS勢(NITA勢)から言わせれば迷惑な存在だ。もともとVSのためのNITAだったのが、今ではNITAガチ勢様のオナニー会場に成り下がっている。そもそも、VSでの走力を付けたいのかタイムを突き詰めたいのか、何をしたいのかがよく分からない。VSでの走力を付けたいなら再現性の低い走法をする必要はないし、再現性の低い走法をしてまでタイムを突き詰めたいなら本当の意味で突き詰めるTAをすべきだ。結局承認欲求を満たすためにNITAランキングを利用しているだけであり、一般のNITA勢はNITAガチ勢のオナニーに付き合わされているというのが実情だ。加えてどこまで行ってもNITAはTAの劣化版でありTAほどの価値はなく、より上のステージで競っているプレイヤーがいること、そして仮に全TA勢がNITAに進出したとすると、NITAのみでランクインしているプレイヤーはその称号を剥奪されることを認識しなければならない。

正直なところNITAガチ勢というのはよく分からない存在ではあるが、存在してしまっている以上は仕方がない。タイムアタックを競技的に行っている勢力としてTA勢とNITAガチ勢がいるということを、内心では見下していても良いので、少なくとも表面上ではお互いに認めて謙虚に振る舞うということが大人であり社会性というものだ。