
最も面白いかはともかく、私にとって最も思い出深いポケモンシリーズは、初代の緑バージョンだ。初めてプレイしたゲームであり、親からゲームを買ってもらう機会が少なかったことも相まって、記憶に強く残っている。そんな初代のリメイク作品であるFRLGは、当時はパールの図鑑埋めのために祖父に中古で買ってもらっただけなのだが、今になって思えば非常に出来の良い作品だった。それが今回Switchに移植されたということで、リーフグリーンを50時間かけて一通りプレイした感想レビューを書いていく。
ストーリー全般に関して
初代と同じくFRLGも、ストーリーらしいストーリーはない。オーキド博士からポケモン図鑑を託され、その完成を目指して旅をするだけであり、最新作のSVのようにドラマがあるわけではない。しかし個人的には、SVのようなドラマも見ごたえがあるが、FRLGのようなシンプルな構成も悪くないと考えている。両者を比較した場合、ストーリーがない方が、自分の意志で旅をしているという感覚になりやすいからだ。例えば前述したように、FRLGの主人公の目的はあくまで、ポケモンという生物を捕まえて完璧な図鑑を完成させることであり、ポケモンジムの制覇やロケット団の壊滅は誰に頼まれたわけでもないが、主人公はそれらを完遂させている。それはプレイヤーの、主人公の純粋な意志とみなせるのではないだろうか。特に後半においては攻略順の自由度があることも相まって、ストーリーの展開に流されているのではなく自らの意志で旅をしているという印象が強い。加えてストーリーがないことによって、私たちプレイヤーの現実に近い印象も受ける。ゲーム内のポケモン世界を旅しているというより、現実世界にポケモンが現れたという感覚であり、最近の作品とは異なる独特の世界観を感じられた。
そしてFRLGにおいて特筆すべきはナナシマの存在であり、これがFRLGを良リメイクたらしめていると私は考えている。私見では、リメイク作品が受け入れられるためには、リメイク前の姿を残しつつも変化を加える必要があり、懐かしさと新しさのバランスが難しい。FRLGにおいてはグラフィックの圧倒的な向上はあれど、基本的には初代と同じ舞台を旅することになるが、後半に訪れるナナシマが新たなゲーム体験を提供してくれている。本格的にナナシマを探索できるのは殿堂入り後だが、既存のゲーム体験を壊されることなく、全く新しい体験も味わえるというわけだ。余談だが、DPのリメイク作品であるBDSPが世間から受け入れられなかったのは、バグの多さやグラフィックの問題だけでなく、新しい体験が地下大洞窟と、改悪されたコンテストだけというのが大きな原因なのではないか。
プレイスタイルとレベルに関して
昔の私は旅だけを優先して、ポケモン図鑑は放置しておくというプレイスタイルであり、捕まえた数10くらいで殿堂入りしてしまうことも多かったが、最近だとポケモン図鑑を埋めながら旅をするという、オーキド博士の想定通りのプレイスタイルで楽しむようになった。今回のリーフグリーンに関しても同様に取り組んだところ、ライバルのポケモンのレベルは高くないという発見に至った。ライバルのポケモンは旅の終盤にかけて急激にレベルが高くなり、チャンピオン戦では最高でレベル63(初代では65)となっている。当時はなぜこんなにも急激に高くなるのか疑問だったが、今回図鑑埋めをしながら旅を進めたところ、四天王に挑む前にパーティの5匹がレベル63近くまで上がった。ファイアレッドでしか出現しないポケモンや、進化レベルが高いカイリューは育てなかったが、ライバルのポケモンのレベルは妥当であると納得できた。
ちなみにライバルは、サント・アンヌ号の時点で40種類のポケモンを捕まえているほどに精力的に図鑑埋めをしていて、その過程でタイプ相性やどのポケモンが強いのかを理解し、相性補完が完璧にできているパーティを作り上げるほどにポケモンをやり込んでいるのだが、チャンピオン戦で主人公に負けた後にオーキド博士から、ポケモンへの信頼と愛情が足りないから負けたと言われてしまう。金銀のライバルと違って、初代のライバルはポケモンの扱いが悪いという描写もないため、あまりにもオーキド博士が主人公を贔屓しすぎていると考えられる。
その他プレイ中に思ったこと
草ポケモンが貧弱すぎる。2~3世代の草ポケモンは冷遇されていて、まともな技がほとんどないということを改めて感じた。レベル40以上になるまですいとるやつるのムチで戦う必要のあるポケモンばかりで、レベル40でやっと初期技を卒業できると思いきや、覚える技ははっぱカッターのような中盤技だけだ。初代であればはっぱカッターはかなり強い技だが、急所率の仕様が変わった2世代以降ではあくまで中盤技でしかない。その中でもマシなのはラフレシアで、レベル44ではなびらのまいを覚える。しかしFRLGのはなびらのまいは威力70であり、デメリットのある技としては控えめな威力だ。エリカから貰えるギガドレインが使いにくいのも問題で、威力60でPP5は弱いとしか言いようがない。同じタマムシシティのゲームコーナーで交換できる10まんボルトやれいとうビームを見習ってほしいところだ。DP以降は新技としてエナジーボールが追加され、ギガドレインは威力75(BW以降)でPP10という旅で使えるレベルの技になったが、御三家の一角にもかかわらず、FRLG時点だと貧弱すぎる草タイプは可哀そうである。今回フシギダネを選ばなかったのも、他の草ポケモンを手持ちに加えなかったのも、これが原因だ。
FRLGのスロットは当てやすくストレスが少ないのは、パチンコの趣味がない私としては非常に嬉しい。目押ししやすいというだけでなく、無駄な演出がないため試行回数を稼ぎやすいのだ。初代のスロットは内部でモードが設定されていて、7が揃わないモードの時は絶対に揃わないようになっているし、金銀のスロットにはゴローニャの長い演出があり、虚無の時間を過ごすことが多かった。一方でFRLGでは、1つ目と2つ目のリールは連打し、補正によって7が揃った時だけ3つ目のリールを目押しすれば良いため、プレイしている際のストレスと、コインを貯めるのにかかる時間が少ない。本当にロケット団が運営しているのかを疑いたくなるほどに良心的な設定となっている。おかげで1円も使わず、パーティメンバーに覚えさせる10まんボルト×3、シャドーボール×1、れいとうビーム×1と、ポリゴンをはじめとするポケモンを短時間で入手できたのは助かった。
残念な点:我儘
FRLGはほぼ完璧な作品なのだが、強いて残念な点を挙げるとすれば、完全な移植であることだ。GBA版と基本的には同じ仕様であり、殿堂入り後にオーロラチケットとしんぴのチケットを入手できること以外に違いはない。そのため例えば、エーフィやブラッキーの入手手段がないのだ。FRLGには時間の概念がなく、時間によって進化するこの2匹を捕まえることができない。FRLGで入手できないポケモンは他にもたくさんいるため、この2匹が特別というわけではないが、進化前のイーブイが入手できるだけに残念ではある。他にも、へんげのどうくつには相変わらずズバットしか出現せず、7のしまにある民家の奥には入れないなど、没要素に関してもGBA版と完全に同じだ。もちろんこれらは不満というよりこちらの欲張りな我儘なため、作品の評価を下げるようなものではないが、残念な点として挙げさせてもらった。逆に言えばこれくらいしかケチのつけようがなく、FRLGはかなり完成度の高い作品である。